常陸野ネストビールの製造拠点、
額田醸造所は設備の増強を重ね、
以前の3倍の製造量を上げるようになった。
確かに最新の機械でビールの品質はより安定した。
が、いくら機械化が進んでも、
使う酵母の世代や季節で、味は毎回微妙に変わる。
麦もホップも酵母も、みな自然のものだから。
皆でテイスティングして、自分たちの五感に
インプットした基準に合っているかをその都度確かめる。
醸造士たちの感覚が頼りなのだ。
決まりきった方法で簡単に品質を保てるなら、
醸造士は要らないだろう。
経験を重ねた醸造士は言う。
「まだわからないです。
わかっちゃったら、そこで終わると思うんですけどね」
レシピはある。メソッドはある。
だが、納得のいく味に出会うための近道はない。
ビールは無限だ。色も香りも味わいも。
これほど自由で可能性の広い酒はないだろう。
つくり手としては、挑み甲斐がある世界だ。
この世に数多ビールがある中で、
常陸野ネストビールはどうあるべきか。
日本だからできる、常陸野だからできるビールとは。
木内酒造だから生み出せる旨さとは。
私たちらしさ。
醸造士たちはそれをつねに考えている。
そして、いつも礼をもって勤しんでいる。
ビールは自分たちだけでつくれるものではないから。
自分たちの前に原料をつくる生産者の方々がいる。
誇りをもって麦やホップをつくる
みなさんの想いを背負って、
自分たちの想いをこめて、
醸造士たちはビールをつくっている。
「ビールには、人と人の想いがある。
それがお客さまに響いてくれたら
こんなにうれしいことはありません」
しあわせを醸す醸造士は、しあわせだ。